歯科医院のホームページを見ていると、「歯科用CT完備」「マイクロスコープ導入」といった設備の紹介をよく目にします。ただ、名前は聞いたことがあっても、それが実際にどのような場面で役立つのかまでは、なかなか分かりにくいものです。
このコラムでは、歯医者さん選びの際に目にすることの多い代表的な設備について、それぞれの役割や使われる場面を整理しました。設備の名前と目的をセットで知っておくと、ホームページの情報を読み解きやすくなります。
設備は「あるかどうか」だけでなく、自分が受けたい治療とどう関わるのかという視点で確認すると、医院選びに活かしやすくなります。
歯科用CT|歯や骨の状態を立体的に確認する
一般的な歯科のレントゲン(パノラマレントゲンやデンタルレントゲン)は、口の中を平面的に写す画像です。これに対して歯科用CTは、歯や顎の骨を三次元(立体)で撮影できる装置で、平面の画像では重なって見えにくい部分も、さまざまな角度から確認できるのが特徴です。
歯科用CTは、インプラント治療の際の骨の厚みや神経の位置の確認、親知らずと神経の位置関係の把握、複雑な形をした歯の根の治療などで活用されることが多い設備です。こうした治療を検討している方は、CTを院内に備えているかどうかを確認しておくと、検査のために別の医療機関へ出向く手間が省ける場合があります。
マイクロスコープ|肉眼では見えにくい部分を拡大する
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、治療部位を大きく拡大して見るための機器です。歯の内部や根の先端など、肉眼では確認が難しい細かな部分を明るく照らしながら拡大して見られるため、精密さが求められる処置で用いられます。
代表的な使用場面は、歯の根の中を清掃・消毒する根管治療です。根管は非常に細く、形も複雑なため、拡大して見ることが処置の助けになります。また、マイクロスコープで撮影した映像を記録し、治療後に患者さんへ説明する際に活用している医院もあります。導入している医院でも、すべての治療で使うとは限らないため、気になる方は事前に確認してみるとよいでしょう。
滅菌器(オートクレーブ)|器具を清潔に保つための要
歯科で使用する器具は、使用後に洗浄し、滅菌器で処理するのが一般的です。滅菌器の中でも広く使われているのが、高温・高圧の蒸気で滅菌を行うオートクレーブと呼ばれる装置です。
ホームページで「クラスB」という表記を見かけることがありますが、これは欧州の規格による分類の一つです。クラスBの滅菌器は、滅菌の前に庫内の空気を繰り返し抜く工程があり、内部が空洞になっている器具(歯を削る機械のヘッド部分など)にも蒸気が行き渡りやすい仕組みになっています。器具を個別に滅菌パックに入れて保管している医院もあり、衛生管理に対する姿勢を知る手がかりの一つになります。
口腔外バキューム|治療中に飛び散る粉じんを吸い込む
歯を削る際には、削りかすや水しぶきが細かな粒子となって周囲に広がります。口腔外バキュームは、口のすぐ外側に吸引口を近づけ、こうした粒子を吸い込むための装置です。口の中で使う通常のバキューム(吸引器)とは別に設置されるものです。
診療室内の空気環境を清潔に保つことを目的とした設備で、感染対策の一環として導入する医院が増えています。院内の衛生環境を重視したい方は、滅菌器とあわせて確認しておきたい設備と言えます。
設備だけで判断しないことも大切
ここまで代表的な設備をご紹介してきましたが、設備が充実していることと、自分に合った治療が受けられることは必ずしもイコールではありません。むし歯の治療や定期検診が主な目的であれば、CTやマイクロスコープが必須というわけではなく、むしろ通いやすさや説明の丁寧さの方が大切になることもあります。
設備の情報は、「どんな治療に力を入れている医院なのか」を読み取るための材料として活用するのがおすすめです。受けたい治療が決まっている場合は、その治療に関わる設備を中心にチェックし、分からない点は受診時に遠慮なく質問してみてください。